[ 原家住宅/陶舗やまわ 市指定有形文化財 ]
原家(はらけ)住宅の、西の空を染めるわずかな残照に、夏雲が名残りを惜しみ本日最後の輝きを放ちます。
それを合図に、一番街通り(いちばんがいどおり)に面する蔵造り(くらづくり)の家々には、一斉に提灯の灯りが点されます。
目を細め、睫毛の隙間からうかがう町の灯りの群れは、いく筋もの光の軌跡をそれぞれの方向に走らせて、思いも寄らぬ光景として網膜に刻まれます。
鬼瓦(おにがわら)が描く一瞬のシルエットも、夕空に刻まれるモニュメントとして、どんなオブジェによる光景よりも、美しいと感じる一枚の絵のように映ります。
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