[ 宮岡家住宅 町勘 まちかん/雪さんぽ ]
宮岡家住宅(みやおかけじゅうたく)の、屋根にはひときわ目を惹く大きな箱棟(はこむね)と、町を見守るように据えられた鬼瓦(おにがわら)がうかがえます。
小谷野家住宅より眺めた 町勘の看板 雪の日の風景
黒漆喰(くろしっくい)に塗られた壁面に、白く不規則に舞う雪の欠片のコントラストが美しく、思わず記録に残してはみるものの、この冷えきった気温のせいでしょう、カメラのプレビューがままならず、願ったような動作を繰り返してくれません。
また、何度拭き取ってもレンズには、降りかかる雪の痕跡が残ります。もうあきらめて、蔵造りの家並をカンをたよりに撮り続けていると、誰かが傘をさしかけてくれました。
振り返るとそこに、お年を召したかわいい笑顔のご婦人がいたのです。暫く後方で、かじかむ指のわたしの動作を観察していたようで、あまりに見かねて傘を差掛けてくれたとのこと。
互いに笑みを交わし別れましたが、いつかわたしも、このような親切をさり気なく、困っているどなたかに施してあげられたならと、心に誓う雪の日の午後でした。
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