[ 芸者横丁 ]
その、横丁(よこちょう)の入り口には、今にも壊れてしまいそうな、朽ちかけた、レトロなアーケードが架けられています。
共同で出資されたのでしょう、左から「クラブ 浮世」「ロートレック」「小料理 悦」「パブ 河」といった、どれもが意味深げで興味をそそる、たまらぬ響きの名の店が、横一列に並べられている看板でした。
芸者横丁 入口のアーケード
でも、そのアーケードの存在に、気づかされてからこちら、夕刻時にあっても、一度たりとして、灯りが点されているところを見かけたことがありません。
夜になっても 灯りは点されぬまま
後日、夜のアーケードをあらためて訪れましたが、やはり灯りは点されておらず、この四軒の営業の確認をとることができません。
「ロートレック」をのぞいては、残る店舗の行方を知る術もなく、 おそらく、勝手な想像をめぐらせるなら、暖簾を下ろされたものと思われます。
その後、数度にわたる散策と、先達の方々が道標となり残された貴重な資料をひもとくうちに、「小料理 悦(こりょうり えつ)」と思われる店舗跡を、ようやくですが見つけることができました。
願わくば、もう5年、重い腰を上げてこの界隈を、早く訪れていたならと悔やまれるばかりです。
枠組を残し 店看板が取り外された「小料理 悦」の店舗跡
また、市の計画として、「札の辻(ふだのつじ)」以北に残された空き長屋を利用する、芸術文化への拠点を設ける事業があることも知り、廃れるばかりの「芸者横丁(げいしゃよこちょう)」としてではなく、ここにもう一度灯を点そうとする、未来へのわずかなきざしを垣間みることにもなりました。
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