[ 芸者横丁 ]
かつては花街(かがい)として栄えた頃の、名残りを見せるこの界隈も、近頃では他所の花街と同様に、飲食店などの多くは暖簾(のれん)をおろし、閑散とした家並を見せるばかりです。
雨ざらしの自転車 この主はもうどこにもいないのでしょう
その名残りから、ここでは「芸者横丁(げいしゃよこちょう)」と記してきましたが、今となってはもう、近隣の人々にとって「花街」は馴染みが薄く、むしろ、後に称されたもう一つの呼び名、「弁天横丁(べんてんよこちょう)」としたほうが良かったのかも知れません。
遠い日の花街の賑わいも、色褪せるばかりの語り草として、ときおり忘れた頃に、会話のはしにのぼるばかりです。
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