[ 長島家住宅 中庭 ]
「幸すし乾蔵(いぬいのくら)」。この「乾(いぬい)」とは、西北の方角を示す名称であり、当時多くの蔵は、母屋に対し乾の方角に建てられました。かつての蔵は、権威や名誉を司る「乾」の方角が、建築の指針のひとつとなったのでしょう。
また、画面に向かい、土間の出口となるすぐ右手には、今では、もう使われていないのでしょう、手押しで汲み上げる、井戸の名残りも見られます。
井戸には、神が宿るともいわれ、信仰の対象にもされてきました。その井戸に向かい、異物を投げ込んだり、大声を放つことなどは、きびしく戒められてきたのです。
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