[ 芸者横丁 ]
気のせいでしょうか、横丁(よこちょう) には冷たく重い、動きの鈍い空気が漂います。
路のカタチに合わせて切り抜かれた、横丁の細く長い小さな空から差し込む光では、とても足りぬといわんばかりです。
細長く切り取られた 横丁の空
微妙な角度をもって、わずかに途中を左右に曲げられた、路のなりゆきに沿って歩を奥へ進めると、訪れたことなどないのに何故か、口にするとどこか懐かしい、「ロートレック」と名付けられる店の前にまで導かれました。
その店は 古びた空き長屋や 廃屋に囲まれていました
こんな、眩しい青空の下の、午後の早い時刻ではなくて、本来、このアーケードを訪れるのにふさわしい、陽の傾きかけた薄暮の頃か、町に灯りが点る、人恋しく思われる夕刻時に、出直したほうが良かったのかも知れません。
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