[ 時の鐘 早朝の風景 ]
「鐘つき通り(かねつきどおり)」をいったん表通りに出て、一番街通りの交差点T字路を渡り、市指定の蔵「銀巴里(ぎんぱり)」を背にしたあたりから、時の鐘(ときのかね)を望むポジションを求めました。
交差点の左角には、市指定の蔵、「滝島家住宅(たきしまけじゅうたく)」が構え、向きあう右角には、光の帯に隠されてしまいましたが、「近江屋長兵衛商店(おうみやちょうべいしょうてん)」といった、生え抜きの家々が建ち並ぶ、幸町ならではの、クラシカルな構図を、まんまと手に入れることができる筈でした。
わずかにですが、揺れて動く闇の中のカメラを、ヒンヤリとした信号機の金属柱に押しつけて、長時間露光をこころみていると、配達へ向かう朝便のトラックでしょうか、前照灯の光跡を見事に暗闇に描き、フレームの向こう側を一瞬過りました。
予期せぬ出来事に、驚きはしましたが、ま、これも「暮らしの痕跡」として捉えるなら、アリなのでしょう。
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